ツケ

大学を卒業してもう5、6年になる。高校を卒業してからは10年くらいか。

大学入学で上京してきた自分は今の自分をどう思うだろうか。何かやり直してくれるだろうか。それとも、あーあーと思いつつ何もしないだろうか。きっと後者なのかな。雨の降る夜、会社帰りの駅を出るとふと思うことがある。どうしてこうなったのだろう。ダブついたズボンを引っ張り上げてシャツを入れ直す。上京していく自分をバス停まで送る車の中、泣きながら言葉を絞り出してくれた父は今の自分をどう見ているのだろう。10年。その間ずっと放置して、向き合うことから逃げ続けた自分の人間性が徐々に顕在化し、それが生活として、人生として自分に返ってきているのだろう。逃げ続けるにも根性がいる。逃げるということは、つまり逃げるということと向き合うことになる。逃げることにも向き合うことなく、その場凌ぎで転々としていたツケと今向き合っている。逃げ続けられなかった自分と。

手足が痺れる。呼吸が浅くなっているんだろうなと思う。それもこれまでのツケなんだと諦める。

この大きすぎるツケと向き合い続けられるだろうか。向き合い続けた結果に返済できるんだろうか。そのことにも逃げ出してしまうのだろうか。わからない。

ただ、折れてはいけないと、毎日それだけを念仏のように唱えながら過ごしている。ここで折れた時のツケはきっと大きい。向き合うことから逃げ続けた経験値として、なんとなくわかる。だから、折れてはいけない。

昼休みが終わるから仕事に戻る。